「不動産仕入れ営業のプロフェッショナルがほしい」
前職は、ヘッドハンティングサービスを行う人材系企業。もっとも多く寄せられた依頼がそれだった。それほどに求められる職種なのか。希少価値の高いポジションなのか。ならば、その人材を探すよりも、自分自身でなってみたい。いつしか、そう願うようになっていた。
ファミリーコーポレーションを選んだのは、会社を大きく成長させていこうという意欲に満ちていたからだ。まだまだ発展途上にあるこの会社を自らの意志と成果で牽引していきたい。冨吉社長と面談する中で、この会社が目指す未来と、自分自身のビジョンがぴったりと重なり合うのを感じた。「市場価値の高い人材になりたい」「誰かに動かされるのではなく、周囲を率いていける人材であり続けたい」。ここでなら、理想の自分を実現できる。大きな目標に向かって、かつてない達成感を味わえる。心が昂るとは、こういうことを言うのだろう。初めて経験するビジネス。そして、かつてないチャレンジングな環境。だが、恐れなど微塵もなかった。絶対にできる。やり遂げられる。新たな門出は、大きな希望に満ちていた。
マンション用地を購入し、マンションを建築し、不動産会社に売る。開発事業部の営業担当は、マンション用地の仕入れをメイン業務に、価値創造の原点を担っている。
「千三つ」という言葉がある。契約確率0.3%。不動産仕入れ営業の難しさを表したものだ。希望に満ちた門出とは裏腹に、転職して半年間、私は、まったく契約を取ることができずにいた。これまでのキャリアにおいて、これほど成果を出せないのは初めてのことだった。「自分はできる」という自信だってあった。そんな私が、会社に養われている。半年もタダ飯を貪っている。その事実は、屈辱でしかなかった。
ただ、焦りはなかった。「次は違うアプローチで提案してみよう」「足繁く顧客のもとへ通い、懐に飛び込もう」。己を信じて、試行錯誤を重ねる。やるべきことを貫けば、自然と結果はついてくると信じていた。そうして訪れた最初の契約の瞬間は、今でも忘れることができない。ほっと胸をなでおろす。そして、その利益の大きさ、インパクトを再確認する……。この業界には、年に1回だけ契約して、あとは遊んで過ごす人もいるらしい。なるほど、それも頷ける。まあ、私は、そんなつまらない生き方はしないけれど。
現在は、4人の部下を率いながら、自らも営業活動を行っている。理想とするのは、自らの行動と成果で指針を示せるリーダーだ。
入社以降、なかなか契約を取れない部下がいた。決して、サボっていたわけではない。真摯に、愚直に、懸命に、日々の仕事に取り組む姿をいちばん近くで見守ってきた。何とか、結果を出してほしい。そんな想いで厳しく叱ることもあったが、彼は決して折れることなく、仕事に向き合っていた。そして、ようやく訪れた契約のとき。営業先に同行していた私は、自ら成果を上げたときの何倍も高揚し、喜びを感じていることに気づいた。
「よくやったな」「努力が報われたな」。かける言葉を考えながら、顧客先を出る。だが、メンバーの反応は意外なものだった。「1件ぐらいじゃ満足できません。次の営業先に行ってきます」。熱い場面を想像していただけに、呆気にとられた。でも、「次」へと向かうその足取りは、心なしか、いつもより軽く見えた。私としては、もう少し余韻に浸りたかったのだけれど……(笑)。
この立場になって、初めて感じたこと。それは、チームで何かを成し遂げることの尊さ、そしてやりがいだった。ファミリーコーポレーションの成長を牽引する筆頭部署として、圧倒的なNo.1をこの手で実現する。それが目下の目標だ。私は、このチームを心から誇りに思っている。私たちなら、絶対にできる。やり遂げられる。そのメッセージをしっかりと示し、さらなる高みを目指していきたい。
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